テーマ: フォルクローレ音楽&ダンス

 

開催地: Torrepaduli (Ruffano)

 

開催日: 8月16日

 

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san rocco a torre paduli   foto sito ufficiale 

イタリアを代表するフォルクローレ音楽のピッツィカ。その本場サレント半島では夏の間じゅう、フォルクローレ音楽&ダンス“ピッツィカ”をテーマにしたお祭りが、各地でほぼ毎晩のように盛んに開かれます。しかしピッツィカのなかでもとてもユニークな、“ピッツィカ・スケルマ”のダンスを観られるお祭りはサレント広しといえども、ここトルレパドゥーリで行なわれるサン・ロッコのお祭りだけ☆

トルレパドゥーリは、サレント半島南部の人口千人にも満たない小さな村。そんな小さな村のお祭りに、プーリア州内外はたまた海外からまで大勢の観光客がピッツィカ・スケルマを観るためにわざわざ訪れるのはなぜでしょうか?もともと聖ロッコの命日である8月16日の前夜、サレントの人々はトルレパドゥーリに集い、音楽やダンスを楽しみながら夏の夜を明かす伝統がありました。

ピッツィカのダンスはその成り立ちからも、女性が主役として踊るいっぽう男性は黒子役に徹するのが一般的なのですが、ピッツィカ・スケルマはまったく異なります☆ スケルマとはイタリア語でフェンシングを意味し、つまりピッツィカ・スケルマではその名の通り、男性ダンサーのペアが剣闘士よろしく、指先を剣に見立てて決闘をするのです。かつては本物の剣を使っていたそうで、現在では素手で安全になったとはいえ、この優雅かつ緊張感のあるダンスを一度ご覧になれば、いまでも“剣の舞い(伊:danze delle spade)”と呼ばれるのもうなずけるでしょう。

剣闘の舞いにあわせてピッツィカ特有のたたみかけるような速いリズムを奏でるのは、タンバリンにカスタネット。哀愁感の漂うメロディーはアコーディオンやバイオリンなど。メインステージではサレントの有名な演奏家たちによるピッツィカのコンサートが開かれますが、注目の舞台はむしろステージをおりた広場や通りにあるといえるかもしれません。まずアマチュア演奏者たちが観衆とともに輪になって円陣をつくると、おもむろに2人のダンサーがその輪の中心へと進みでて“剣闘”が始まります。

剣の舞いの果てにどちらか一方のダンサーが指先で突かれると“負け”、円の外へと退きます。一方“勝った”ダンサーはそのまま円内に勝ち残り、次のダンサーの挑戦を受けます。その様子はダンス版“百人組手”といえるかもしれません。タンバリンや楽器を嗜まれる方は、楽器をお持ちになれば即興で、広場や通りでくり広げられるピッツィカ・スケルマの輪に加わるなんてことも夢ではありませんよ♪それにしても、なぜこのように特殊なダンスバトルが行なわれるようになったのか?じつはあまりにお祭りの歴史が古いため、いまだにナゾのままのようです…

真夏のサレント半島を旅される際には、ぜひ女性ダンサーが情熱的で華やかな女性ダンサーが美しいピッツィカと、この男性ダンサーたちの躍動感が魅力のピッツィカ・スケルマ両方を体験してみてはいかがでしょうか?