テーマ: ローカルフード, 南伊の伝統習俗

 

開催地: Cannole

 

開催日: 8月10-13日

 

公式サイト 

 Festa della municeddha- foto sito ufficiale

 

フランス料理ではエスカルゴと呼びカタツムリを食しますが、ここサレント地方や遠いシチリア島も含む南イタリアでも広くカタツムリが伝統的に食されているのをご存じでしたか?

フランスのエスカルゴ料理で一般的に使われるHelix pomatiaなどの大型種と異なり、プーリア州南部サレント地方に生息する食用カタツムリは、小粒で茶色の殻をかぶった愛嬌あるその姿から、サレントの方言で “ムニチェッダ(municeddha=小さな尼さん)”とよび親しまれています。美味で滋養強壮にも効くというサレント版エスカルゴは、白ワイン煮やトマトソース煮、または直火で炒って食すのが定番。サレント地方の夏のグルメの一つとして愛されています。

そのカタツムリの収穫祭が、1985年から毎年8月10〜13日の4日間、サレント半島中部カンノレ(Cannole)の街で盛大に開かれます。カンノレにはサレントの方言で“クッツァーリ(cuzzari)”とよばれる“カタツムリの狩人”たちが現在も多く暮らしており、サレント地方のなかの“カタツムリ料理の都”といえる街です。カンノレのカタツムリ収穫祭は、年をかさねるごとにその人気が高まり、30回以上をかさねた現在では、250名以上のボランティアスタッフが参加する一大イベントにまで成長しました。

収穫祭の主役であるサレント地方の食用カタツムリは、学名をHelix aperta(あるいはCantareus apertus)といいヨーロッパ一帯、とくに地中海沿岸地方にはば広く生息しています。毎年6月になると、彼らはサレントの高温で乾燥した夏をしのぐため、殻に白い膜でフタをして“夏眠”に入ります。殻の茶色がかったオリーブグリーン色が修道女の僧衣そっくりの色で、夏眠のあいだ殻をフタする白い膜も修道女の被りものを連想させることから、サレントの人々はこのカタツムリを昔から地元の言葉で“ムニチェッダ(小さな尼さん)”と親しみをこめて呼んでいます。フランスのエスカルゴの場合は穀物飼料による養殖が主流であるのに対し、サレントの食用カタツムリ=ムニチェッダは、そのほとんどが野生で自然豊かな森や林あるいは休耕畑などにいるため、味も栄養も豊かだといわれています。それをクッツァーリと呼ばれる地元のカタツムリハンターたちが一つずつ手で“拾って”いくのです。カタツムリたちは夏眠状態のまま、おもしろいことに八百屋さんで量り売りされます。しかしそのまま食べるわけではなく、各家庭では食用カタツムリを買ってきてから数日〜1週間、小麦粉のみをエサとして与え体内を“洗浄”、臭みや雑味などすべてを完全に取り除きます。

こうした下処理のおかげでカタツムリ料理はまったく臭みやクセがなく、海の貝類よりも美味という人も少なくありません。食わず嫌いの人もムニチェッダをひとたび口にしたら病みつきになってしまったなんて話もよく耳にするほどです。夏バテ解消にも効果があるそうなので、皆さんもぜひサレントの夏の旬の味覚、カタツムリをお試しあれ♪年の数だけ食べると健康長寿になれるとか…^^

収穫祭では、もちろん食用カタツムリのお料理だけでなく、プーリア州南部のフレッシュな食材を活かした伝統料理も色々と楽しむことができます。“イタリアの穀倉”とよばれるプーリア州は野菜が美味しくて有名!パプリカの揚げ浸しや焼きナスのハーブ酢漬け、さらにはプーリア自慢のパン類やピットゥレなどのおつまみ&スナック類も見逃せません。サレント特産のチーズ“リコッタ・フォルテ”とアンチョビを合わせてパンにのせたカナッペ類などいずれもハイレベルな絶品ぞろい♪ 収穫祭へはお腹をすかせて出かけた方がいいでしょう^^

屋台のすぐ横には来乗客のためのお食事コーナーがあり、テーブルとベンチが並んでいます。その近くの特設ステージでは、ピッツィカなどサレントの伝統音楽&ダンスのショーをはじめ、さまざまなジャンルの音楽ライブがフェスティバルを盛り上げます。収穫祭開催中の毎日、コンサートが始まる21:30ころになると大勢の来客で混みはじめます。カタツムリ料理など人気のスタンドの長い行列に並ぶのを避けるためには、20:30より前にカンノレにいるようにした方が無難でしょう。