テーマ:サレントの珍祭, 南伊の伝統習俗

 

開催地: Calimera

 

開催日:6月21・22日

 

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Festa dei lampioni foto manuela tommasi 

ランピオーニ(Lampioni)とは、イタリア語で“街灯、ランタン”を意味します。毎年夏至の6月21・22日にサレント地方の小さな村カリメーラ(Caliemra)で行なわれるランピオーニ祭りでは、その名のとおり、色とりどりのさまざまな形をした美しい飾りちょうちんが、街路の頭上に吊るし飾られます。

夜の街路をランピオーニの優しい明かりがポワッと照らす、そのなんとも幻想的な光景を一目見ようと、毎年イタリア各地から多くの観光客が訪れます。日本には三大提灯祭りなどちょうちんの夏祭りが全国各地にありますが、イタリアでランピオーニのお祭りが見られるのはプーリア州、いやイタリア全国でもここだけ!とーっても珍しいお祭りなんです☆

原始農耕社会のむかし、人類は今よりもずっと季節の変化に敏感で、夏至の到来には火にまつわるお祭りが世界各地で行なわれてきました。南ヨーロッパ、イタリア半島のかかとサレント半島の小さな村カリメーラでも、その記憶が今日まで脈々と受継がれているのです。キリスト教が広まるずっと前から、このお祭りは気の遠くなるほど長い歴史をもつ、全人類に共通するような、牧歌的なアニミズムの伝統が息づいています。

夏至のランピオーニ祭りが開かれるカリメーラ村が、世界的にきわめてユニークな場所として、観光と学問の両面から注目を集めていることも、特筆すべきでしょう。“イタリアの中のギリシャ”といわれる、 グレチア・サレンティーナ地域(Grecìa Salentina)を構成するサレント半島内陸部12の自治体の一つであり、じっさいこのカリメーラ村を含むグレチア・サレンティーナ地域では、今でもお年寄りを中心にグリコ語(Griko)と呼ばれる古代ギリシャ語に由来するギリシャ語方言が日常的に話されています。

グレチア・サレンティーナの村々には、約3千年前に古代ギリシャから渡ってきた開拓民たちの末裔、さらには中世、イスラム勢力による東ローマ帝国への侵略から避難しこの地へ移住してきたギリシャ人たちの末裔が今でも多く暮らし、グリコ文化を守っています。

古代・中世ギリシャから受継がれてきたグリコ文化のなかには、言語や音楽などとともにランピオーニのお祭りなども含まれています。カリメーラのランピオーニ祭りで飾られるランタンとそっくりなお祭りの様子を描いた壁画が、かつてギリシャであった小アジア、現在トルコのカッパドキア地方にある原始時代の洞穴住居からも見つかっており、そのあたりにルーツがある可能性が大きいと考えられています。

ランピオーニを作る材料は、時代とともに少しずつ変化してきました。伝統的にヨシの茎を骨組みの主材料とするのは変わりませんが、20世紀に入ってからは鉄の針金やより糸も使われるようになり、それまでよりも複雑な形のランピオーニの制作が可能になりました。

さらに1950年代には、色紙を骨組みに貼るための糊が、伝統的に小麦粉を水に溶いたものから工作用のりへ、ランピオーニの光源も伝統的なロウソクから電球へとって代られました。そして現在21世紀に入ると、LED電球が使われるようになっています。

カリメーラにはランピオーニ作りの名人たちが何人かいます。彼らは現在4つの制作グループに分かれ、小さいものでは40cmくらいのものから大きいものになると6mを超えてくるものまで、

見事な作品を毎年競いあいながら生みだしています。ランピオーニ祭りの当日には、優秀作品を選ぶコンテストも行なわれます。 その他にもカリメーラ村の広場ではフォルクローレ音楽のコンサートなどさまざまなイベントが開かれるほか、屋台や出店が軒を連ねお祭りが盛大に盛り上がりをみせます。

なおカリメーラ村には、グリコ伝統文化保護協会“Circolo Ghetonia”や、グリコ文化や歴史に関する数多くの展示品がある民俗資料館“Casa-Museo”があり、グリコ文化を身近に学ぶことができます。ここではランピオーニ作りの名人とともに子供から大人まで楽しめる、オリジナルのランピオーニの手作り教室も年間を通じて開かれています。村の広場のカフェなどに立ち寄れば、村人たちのグリコ語でのおしゃべりも聞けるかもしれませんよ♪

サレントに夏の本格的な到来を告げるこのイタリアの珍祭を訪れ、ぜひグレチーア・サレンティーナの地に息づく“イタリアの中のギリシャ”に触れてみてはいかがでしょうか♪